砂山

炉咄やひと際高く薪が爆ぜ
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祖母もまた母も歩きし砂浜に
はぐれ鴎の親しく見ゆる
「 砂 山 」
何を得て何を失ったか
考えたくもない
それでも港に来ればほっとする
歌は演歌で民謡の
幼い心の拠り所
耳の欠けた狛犬が
吽と唸っていたことも
ソフトボールを始めたら
目の不自由な神主が
雨戸をさっさとたてたこと
些細な事も宝物
私は何処に行くのかな
帰るところがあるのかな
誰の居場所も仮の宿
明日が雨でも嵐でも
いずれはここを発つのだな
明日来る道

夕暮れは殊に哀しき木の葉雨
「 その路地を抜けて 」
夢見たけれど届かない
あの日願った夕焼けの
そいつの先にはあったよう
私は今も鬼のまま
友の姿を探してる
迷った末の街の燈に
母が見えたり隠れたり
路地の詰まりで
手を引いていた
兄も黙って消えました
涙を拭いて眉上げて
とぼとぼ歩く日暮です
少し淋しい夜ですが
も少しすれば
朝になる
荻の風

夕来たり風聞草は川を見る
「 秋の夕暮れ 」
秋の夕陽が落ちぬれば
家路の足元おぼつかぬ
夜の烏に慄きて
次第に足が速くなる
楽しい我が家の無い子には
何を急ぐもなきものを
遅くなったと叱られて
ご飯抜きかもしれぬのに
ほかに行く宛てありもせず
ムーンライト・ソナタ

月光の降るあまねく愛を携えて
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「 果て無き明日 」
辻々に仏のおわす里の道
月の光に照らされてあり
振り返り振り返りつつ
私は行かなければならない
父母を追い
兄を追い
私は険しき杣道を歩く
帰る所はない
いつの日か荷を降ろす
そのときまでは
倒れても伏しても
前に進むのだ
梅雨明け

握り飯空より至る滝の風
「 尾鈴山 」
バス停は終点
細の発電所
クエントから右に行けば矢研の滝
左に行けば白滝
山は深く空は狭い
山頂までは2時間
向こうは牧水の故郷の山陰
手前は太平洋
幾度登っても尾鈴はいい
今は未だ人生を語らず

蠛蠓(まくなぎ)は我が目の中で主張せり
http://www.youtube.com/watch?v=tSEJ4I0_pxY
「 風の街 」
これほど生きて来たのに
人が分からない
どんなに泣いても
自分が見えない
手探り闇夜のその中で
時々母の声がする
曲がっちゃいけない
真っ当に生きてさえあれば
明日のお天道はまた昇る
瞼を拭いてまた歩き
そうして母の歳を越え
信じたものさえ妖しくなって
死にたいなんて呟くと
風ばかり
駅を降りたら風の街
放り出される辛さなど
私にゃ何でもないけれど
帰りたいのは故郷の
誰にも媚ない風の村
遠くへ行きたい

鵜篝の火の懐かしさ独り見る
「 見知らぬ町 」
見知らぬ町をバスが行く
海辺の道は幾曲がり
どんなに慕い惹かれても
恋の終りはやって来る
水平線の赤い船
あれに揺られて遠くの国へ
帰らぬ旅もいいような
心寂しい夕暮れは
昔の歌を聴きながら
見知らぬ町の
見知らぬバスで
見知らぬ山へと
登ります
草矢

飛ばしたる草矢はどこへ行ったやら
「 道 」
来た道はもう見えない
行く道はまだ見えない
躊躇い戸惑い僕は佇む
自分の為に僕は泣かない
亡くしたものを
僕は惜しまない
傍観者でいたくないけど
主役にはなれない
道はいつも
中途半端に岐路を置き
選択を迫る
鐘が鳴るのを聞いた
この丘に続く道を辿れば
チャペルがある
そんな気はしている
何の花か香る

蟇蛙嫌われ者のつぶらな目
「 巧言令色 」
赤いお本に載ったって
私の姿は変らない
醜い姿を笑われた
昔の方がまだいいよ
私は親にそっくりで
自慢の息子と呼ばれてた
メランコリーないぼ蛙
結局どうにも切ないもので
嫌われ者も少なくなれば
とたんにちやほやされるけど
ビリが居なけりゃ一等も居ない
ブスが居なけりゃ美人も居ない
ありのまんまであればいい
不細工汚濁ない混ぜて
誰がどんなに騒いでも
命は二つに増えないものさ










